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【大腸がん】松本人志さんの公表に思うこと

2026.07.21

―血便を「痔だろう」と放置しないでください―

こんにちは。神戸市灘区のきなが内科・内視鏡クリニックです。

「血便が出ているけど、たぶん痔だろう」
「しばらく様子を見れば治るはず」

そう自己判断して、受診を先延ばしにしていませんか。 2026717日、ダウンタウンの松本人志さん(62歳)が大腸がんの切除手術を受け、退院したことを公表されました。内視鏡専門医として、この報道をお聞きしたとき、「血便が出たらすぐに受診してほしい」という思いを強くしました。本記事では、松本さんの経緯を振り返りながら、大腸がんの早期発見がいかに重要か、そして便潜血検査・大腸カメラ検査の大切さをお伝えします。

松本人志さんに何が起きたのか

松本さんは今春、体の異変を感じて医療機関を受診。大腸に腫瘍が発見され、入院・手術に至りました。吉本興業の発表では「大腸の腫瘍切除手術を受け、無事に退院した」とされていますが、松本さん本人は緊急生配信の中でこう語っています。

「血便が止まらへんって言ってたでしょ。病院行ったら、めちゃめちゃがんやってん」 「俺、死ぬか思ったわボケ。ほんまにめちゃめちゃ大変やったわ」

そして、手術後にストーマ(人工肛門)を造設したことも自ら明かされました。腸を切除したあと、腸の端を腹壁の外へ出して排泄口を作る処置です。数か月後に腸を元に戻す手術を予定しているとのことで、松本さんはその間もストーマをつけたまま活動を続けると宣言されました。

ストーマが造設されたということは「進行がん」を意味する

ストーマ(人工肛門)は、すべての大腸がん手術で必要になるわけではありません。腸を切除したあと、残った腸どうしをすぐにつなぎ合わせられる場合は、ストーマを作らずに済みます。

ストーマの造設が必要になるのは、主に以下のようなケースです。

  • ●腫瘍が肛門に近い直腸の低い位置にある場合
  • ●腸の切除範囲が広く、腸どうしをすぐにつなぐと縫合不全(つなぎ目が開く合併症)のリスクが高い場合
  • ●手術が複雑で、腸を一時的に「休ませる」必要がある場合

松本さんの場合、「数か月後に戻す手術をする」という説明から、一時的なストーマ(一時的人工肛門)と考えられます。しかし腸の切除範囲が広いことは確かであり、早期がんではなく進行がんであった可能性が高いと、私は感じています。

大腸がんは、早期にはほぼ無症状

松本さんが「血便が止まらない」という状態になってから受診されたことは、大腸がんの特性を考えると、非常に典型的なパターンです。 国立がん研究センターの「がん情報サービス」には、こう記されています。

「早期の段階では自覚症状はほとんどありません。進行すると、便に血が混じる(血便や下血)、便の表面に血液が付着するなどの症状があらわれます。また、慢性的に出血することによる貧血の症状(めまいなど)や、腸が狭くなることによる便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感じがする、おなかが張るなどの症状があらわれることもあります」

つまり血便などの症状が出てきた時点では、がんがすでにある程度進行している可能性がある、ということです。

症状が出てから受診しても「手遅れ」になることがある

大腸がんのステージは0IVに分かれており、早期(ステージ0I)であれば内視鏡での切除も可能で、5年生存率は95%以上です。しかしステージIIIになると7080%、ステージIVでは2030%まで低下します。 症状が出てから慌てて受診しても、その時点ですでにステージが進んでいることは珍しくありません。だからこそ、症状が出る前の「検診」が重要なのです。

血便イコール痔、ではない。自己判断の危険性

血便が出ても「痔だろう」と考えて受診しない方は少なくありません。確かに、血便の原因として最も多いのは痔核(いぼ痔)や裂肛(きれ痔)などの良性疾患です。しかし、外見だけで痔と大腸がんの血便を見分けることは非常に難しいのが実情です。

痔の血便と大腸がんの血便、どう違う?

  痔の血便 大腸がんの血便
鮮やかな赤 暗赤色〜黒みがかった赤(出血部位が高い場合)
タイミング 排便時に便と別に出ることが多い 便に混じっていることが多い
痛み 裂肛では排便時に痛みを伴うことがある 初期は無痛のことが多い
その他 排便後に出血が止まりやすい 慢性的に続くことがある

ただし、この表はあくまで目安です。直腸がんなど肛門に近い部位のがんでは、痔の血便とほぼ区別がつかない鮮やかな赤い血が出ることもあります。 国立がん研究センターも、次のように注意を促しています。 「これらの症状は、痔などの良性の病気でも起こりますが、自己判断せず、症状に気が付いたら早めに消化器科、胃腸科、肛門科などの身近な医療機関を受診しましょう」

「たぶん痔だろう」という自己判断が、発見を遅らせる最大の要因のひとつです

血便が続いているのに『痔だから』と受診を先延ばしにされる方は、本当に多いです。痔であれば問題ないのですが、万が一、大腸がんだった場合のリスクを考えると、一度きちんと検査を受けてほしいと強く思います。大腸カメラ検査は、ポリープを発見してその場で切除することもでき、将来のがん予防にもなります。検査への不安は当院でしっかりサポートしますので、ぜひご相談ください。

大腸がんを早期に見つけるための2つの検査

大腸がんの早期発見に有効な検査は、主に2つあります。

1.便潜血検査(大腸がん検診)

便の中に微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。年1回、自宅で採便して提出するだけで受けられます。

メリット
  • ●費用が安く、体への負担がほとんどない
  • ●神戸市の大腸がん検診として、40歳以上の方は自己負担500円程度で受けられる
  • 当院でも、健康診断として500円で検査可能です
デメリット
  • ●あくまでスクリーニング(ふるい分け)検査のため、陽性になっても必ずしもがんとは限らない
  • ●陰性(異常なし)でも、がんを完全に否定できるわけではない
  • ●陽性になった場合は、必ず大腸カメラ検査(精密検査)を受ける必要がある

    2.大腸カメラ検査(下部内視鏡検査)

    腸の内側を直接観察する検査です。

    メリット
    • ●大腸がんやポリープを直接見つけることができる
    • ●ポリープが見つかれば、その場で切除して将来のがん予防ができる
    • ●便潜血検査より精度が高い
    当院がお勧めするタイミング
    • ●便潜血検査で陽性が出た方(精密検査として必須)
    • ●血便・下血・残便感・便が細くなるなどの症状がある方
    • ●40歳以上で、一度も大腸カメラ検査を受けたことがない方(特に50歳以上の方は定期的な検査を強く推奨します)
    • ●家族に大腸がんの方がいる方

    当院の大腸カメラ検査の強み

    当クリニックでは、患者様に安心して検査を受けていただけるよう、苦痛を最小限に抑えつつ、最高水準の精度を追求しています。

    • 最新AI画像診断システム(CAD EYE)の導入:熟練の医師の目に加え、AIが微小な病変をリアルタイムで検知し、見逃しの少ない高精度な検査を実現しています。
    • 鎮静剤による「痛くない・苦しくない」検査:ご希望に応じて鎮静剤(静脈内鎮静法)を使用します。ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で、苦痛なく検査を終えることができます。
    • 大腸ポリープの日帰り切除:検査中に将来がん化するリスクのあるポリープが見つかった場合、その場で日帰り切除が可能です。一度の検査でがん予防まで完結できます。

    まとめ:松本人志さんの公表から私たちが学べること

    松本人志さんは「血便が止まらない」という症状をきっかけに受診し、大腸がんが発覚しました。ストーマを造設するほどの大きな手術が必要だったことは、がんがすでに進行していたことを示しています。 この経緯から、私たちが学べることは2点です。

    血便を自己判断で「痔だろう」と放置しない

    血便が続く場合は、必ず消化器内科を受診して原因を確かめましょう。

    症状が出る前に、定期的な検診・検査を受ける

    大腸がんは早期には症状が出にくいからこそ、便潜血検査や大腸カメラ検査による定期チェックが命を守ります。

    松本人志さんの回復と、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。そして、この報道を機に「自分も一度検査を受けてみよう」と思っていただけたなら、ぜひ当院にご相談ください。

     

    院長 木長 健

    執筆者

    きなが内科・内視鏡クリニック
    院長 木長 健

    専門医・資格・所属学会

    • 日本消化器内視鏡学会上部消化管内視鏡・大腸内視鏡スクリーニング認定医
    • 人間ドック健診専門医・指導医
    • COH労働衛生コンサルタント
    • 日本医師会認定産業医

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