トイレで用を足した後、便の色が「緑色」で驚いたことはありませんか?

「野菜を食べすぎただけ?」「それとも食中毒や何か重い病気?」
大人の場合、子供とは違って緑色の便が出る頻度は低いため、余計に不安になる方も多いでしょう。
実は、大人の緑色の便は、「腸の通過スピード」や「食生活」と密接に関係しています。
今回は消化器内科医の視点から、大人の緑色便の原因、そのメカニズム、そして病院を受診すべき危険なケースについてお伝えします。
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なぜ便が「緑色」になるの?(メカニズム)

まず、便が色づく仕組みを知っておくと安心です。
通常、健康な便は「黄褐色(茶色)」をしています。この色は、肝臓で作られる消化液「胆汁(たんじゅう)」に含まれる色素(ビリルビン)によるものです。
通常のプロセス
胆汁(もともとは黄色や緑色)が腸内をゆっくり通過する間に、腸内細菌によって分解・酸化され、最終的に茶色に変化して排出されます。
緑色になる理由
何らかの原因で腸の動きが速くなりすぎると、胆汁が茶色に変化する時間がなく、緑色のまま排出されてしまいます。つまり、緑色の正体は「本来茶色になるはずだった胆汁の色素」であることがほとんどです。
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大人の緑色便・下痢の「3大原因」
大人の場合、主に以下の3つのパターンが考えられます。
① 食事やサプリメントの影響(心配なし)

最も単純で心配のないケースです。
- ・緑黄色野菜の過剰摂取: ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなど。
- ・葉緑素(クロロフィル)を含む食品: 青汁、グリーンスムージー、特定のサプリメント、人工着色料の入ったお菓子など。
これらが原因の場合、便は緑色になりますが、下痢や腹痛を伴わないことが多く、摂取を控えればすぐに元の色に戻ります。
② 消化不良・ストレス(経過観察)

現代人の大人に最も多い原因の一つです。
- ・暴飲暴食・脂質の摂りすぎ: 消化が追いつかず、腸が内容物を早く排出しようとフル稼働します。
- ・過度なストレス・疲労: 自律神経が乱れ、腸の蠕動(ぜんどう)運動が過剰になります。
- ・アルコール: 腸を刺激し、水分吸収を阻害します。
これらの要因で腸の通過時間が短縮されると、胆汁が緑色のまま、水っぽい下痢として排出されます。
③ 感染性胃腸炎・食中毒(要注意)

ウイルスや細菌(サルモネラ菌、カンピロバクター、ノロウイルスなど)に感染した場合も、腸が炎症を起こして激しい下痢になります。
この時も、体内から菌を早く追い出そうとして腸が高速で動くため、緑色の水様便が出ることがあります。
- ・特徴: 激しい腹痛、吐き気、発熱を伴うこと
- 3.自宅でできる対処法と治し方
発熱や激しい痛みがなければ、まずは自宅で腸を休めることが大切です。
1.食事をコントロールする

・原因と思われる緑黄色野菜や着色料の摂取を一時的に止める。
・脂っこいもの、アルコール、冷たい飲み物、香辛料などの刺激物を避ける。
・おかゆ、うどん、白身魚など、消化の良いものを食べる。
2.水分補給

・下痢が続くと脱水症状になりやすいため、常温の水や経口補水液をこまめに摂る。
3.安静と保温

・ストレスや冷えは大敵です。お腹を温めてゆっくり休息をとりましょう。
4.放置は危険!受診すべきタイミング

「たかが便の色」と甘く見てはいけません。以下のような場合は、背後に消化器の病気が隠れている可能性があります。速やかに医療機関(消化器内科)を受診してください。
下痢が1週間以上続く場合
過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の可能性があります。
「血便」や「黒色便」が出る場合
・赤色(鮮血): 大腸や肛門からの出血(大腸がん、ポリープ、痔など)。
・真っ黒(タール便): 胃や十二指腸からの出血(胃潰瘍、胃がんなど)。
※緑色よりも、黒や赤の方が緊急度が高い傾向にあります。
その他の随伴症状がある場合
激しい腹痛、嘔吐、高熱、体重減少、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が見られる場合。
まとめ:長引く場合は大腸カメラ検査も検討を

大人の緑色の便は、多くの場合「腸の通過スピードが速すぎること」が原因です。
暴飲暴食やストレスに心当たりがある場合は、まずは生活習慣を整えて様子を見てみましょう。
しかし、「何日も色が戻らない」「下痢と便秘を繰り返す」「血が混じる」といった症状は、体からのSOSです。自己判断で市販薬を使い続けず、医師にご相談ください。当院では、苦痛の少ない大腸カメラ検査などで原因を特定し、適切な治療をご提案します。




