神戸市 きなが内科・内視鏡クリニックが解説

健康診断の結果表に書かれた「便潜血陽性」の文字。
これを見て、「何かの間違いだろう」「きっと痔のせいだ」と自分に言い聞かせ、再検査の案内から目をそむけてはいませんか。
私たちは、その結果を不安を煽るものではなく、むしろ「将来の大腸がんを予防できる、絶好の好機」だと考えています。私たちのクリニックが掲げる「大腸がんで亡くなる不幸をなくしたい」という理念は、まさにこの段階で行動を起こすことで実現に近づきます。今回は、便潜血陽性がなぜ好機なのか、そしてそれを最大限に活かすための日帰りポリープ切除についてお伝えします。
便潜血陽性は「がんの警告」ではなく「ポリープ発見のサイン」

便潜血検査は、目には見えない微量の血液が便に混じっているかを調べる検査です。陽性だからといって、必ずしも大腸がんというわけではありません。
しかし、これは重要な手がかりです。データによると、便潜血陽性の方が精密検査の大腸カメラを受けた場合、高い確率で「腫瘍性ポリープ」が見つかります。大腸がんの多くは、ある日突然発生するわけではなく、この良性のポリープが数年かけて徐々に大きくなり、がん化するという段階を踏みます。
つまり、便潜血検査は、がんそのものではなく、がんになる前の芽であるポリープを発見してくれる、非常に優れたきっかけなのです。院長は人間ドック健診専門医、指導医として、この結果をどう解釈し、次に何をすべきかを的確に判断することを専門としています。症状のないうちにこの段階でポリープを切除することこそが、何より確実な大腸がん予防につながります。
究極のがん予防「日帰り大腸ポリープ切除」という選択肢

ポリープを切除すると聞くと、入院が必要な手術をイメージされるかもしれませんが、そんなことはありません。便潜血陽性の精密検査として大腸カメラを行った際にポリープが見つかった場合、当クリニックではその場で切除まで行う日帰り手術が可能です。
その際に当クリニックが積極的に採用しているのが、コールドスネアポリペクトミーという、比較的新しく安全性の高い手技です。これは、従来のように高周波電流で焼き切るのではなく、専用のワイヤーでポリープを締め付けて切除する方法です。
この手技の利点は、熱によるダメージがないため、後から傷口が開いて出血するリスクや、腸に穴が開くリスクが従来の方法より低いとされている点です。この安全な手技を用いることで、患者様は安心して日帰りでポリープ切除を受け、将来のがんリスクを大幅に減らすことができるのです。
「不安」を「安心」に変える一日の流れ

健康診断で陽性の通知を受け取った時の、あのドキッとする不安な気持ち。それを、「ポリープの段階で発見、切除できて本当によかった」という安心感に変えることが、私たちの使命です。
当日の検査は、鎮静剤を用いてウトウトと眠っている間に始まります。大腸内視鏡スクリーニング認定医である医師が、AIのサポートも受けながら大腸内を徹底的にチェックします。そして、がんの芽であるポリープが見つかれば、その日のうちに安全に切除します。
目が覚めた後、医師から「ポリープがありましたが、切除しました。今日あなたは、将来のがんを一つ予防できましたよ」と説明を受ける。この流れこそが、大腸がんからご自身の未来を守るための、最も確実で効率的な方法です。
「便潜血陽性」は、行動を起こすための最高のきっかけです

便潜血陽性は、決して見て見ぬふりをして良い結果ではありません。それは、あなた自身の健康を守るための、またとない好機です。
院長は「何でも気軽に話しかけて相談してほしい」と考えています。「便潜血陽性」を指摘され、どうすればよいか分からず不安な方は、ためらわずにぜひ一度ご相談ください。その一歩が、十年後、二十年後のあなたの健康につながっています。




