神戸市 きなが内科・内視鏡クリニックが解説

大腸カメラ検査と、ポリープの日帰り切除、お疲れさまでした。まずは、将来の大腸がんにつながる可能性のあった芽を摘み、ご自身の健康のために非常に重要な一歩を踏み出されたことに、心から敬意を表します。
その大切な処置を完璧なものにするために、これから始まる回復期間の過ごし方がとても重要になります。切除した場所は一種の「傷」になっているため、合併症を防ぎ、安全に回復していただくための注意点についてお伝えします。
なぜ、ポリープ切除後に注意が必要なのでしょうか?

大腸ポリープの切除は、内視鏡を使って大腸の内側から粘膜を切り取る処置です。そのため、切除した部分は人工的な潰瘍、つまり大腸の中の傷になっています。
この傷が完全に治るまでには、一週間から二週間ほどかかります。特に、術後三日から十日間は、傷口を保護していたかさぶたが剥がれることで、予期せぬ再出血が起こる可能性がある、最も注意が必要な期間です。これからご説明する注意点は、すべてこのデリケートな傷口をしっかりと保護し、がん予防という目的を安全に達成するためにあります。
食事で気をつけること【約1週間】

ポリープ切除後の食事は、消化が良く、腸に負担をかけないものが基本です。少なくとも一週間は以下の点に注意してください。
積極的に摂っていただきたいのは、おかゆ、うどん、パン、豆腐、卵、白身魚、鶏ささみ、じゃがいも、バナナなど、消化の良い食事です。
一方で避けていただきたいのは、唐辛子やカレーなどの刺激物、ラーメンや揚げ物などの脂っこいもの、そしてきのこ類や海藻類、玄米といった消化の悪い食物繊維が豊富なものです。
また、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物も、腸を刺激することがありますので、術後2〜3日は控えるか、薄めのものから試すようにしてください。
中でも最も重要な注意点が、アルコール飲料、つまりお酒です。アルコールは血行を良くし、血圧を上げる作用があるため、傷口からの出血リスクを著しく高めます。最低一週間、可能であれば二週間は必ず禁酒を守ってください。
運動・仕事・日常生活での注意点

食事と同様に、体に過度な負担をかける行動も出血のリスクを高めます。
運動・性生活について
ジョギングやゴルフ、筋トレなど、お腹に力が入る激しい運動は一週間程度避けてください。軽い散歩程度であれば問題ありません。同様の理由で、腹圧のかかる性生活についても、出血のリスクが落ち着く一週間後まではお控えください。
仕事復帰について
仕事復帰に関する注意点は、お仕事の内容によって大きく異なります。デスクワークであれば、翌日から復帰可能です。しかし、重い物を持つ、体を激しく動かすといった肉体労働の場合は、数日間お休みいただくか、軽い業務への変更をご検討ください。院長は産業医として、お仕事の内容に応じた復帰時期の判断も専門としておりますので、ご自身の業務内容についてもお気軽にご相談ください。
入浴・旅行について
日常生活では、切除当日と翌日の入浴はシャワー浴のみとし、湯船に浸かるのは三日後からにしましょう。また、飛行機に乗るような旅行や出張は、万が一の出血時にすぐ対応できないため、一週間程度は避けるのが賢明です。
【最重要】このような症状は、すぐにクリニックへご連絡ください

ほとんどの方は問題なく回復しますが、ごく稀に合併症が起こることがあります。以下の症状が見られた場合は、夜間や休日であっても、ためらわずにクリニックにご連絡いただくか、救急外来を受診してください。
具体的には、我慢できないほどの強い腹痛や、だんだんひどくなる腹痛、便器が真っ赤になるほど多量の出血、黒いタール状の便、三十八度以上の発熱、めまいや冷や汗、意識が遠のく感じなどです。これらのサインを見逃さないでください。
正しい術後管理で、がん予防を完成させましょう

大腸ポリープの切除は、検査と治療、そしてがん予防を一度に行える優れた方法ですが、処置後のセルフケアがその効果を確実なものにします。少しの間、食事や運動に制限がありますが、これらはすべて、体を安全に回復させるための大切な期間です。
私たちのクリニックの役割は、検査をして終わりではありません。ご帰宅後に何か不安なことや、気になる症状があれば、どんな些細なことでも結構です。院長は「何でも気軽に話しかけて相談してほしい」と考えています。遠慮なくお問い合わせください。




