色と形でわかる体のSOS
「うんちの色や形がいつもと違う…」
と感じたことはありませんか?
便は、あなたの体の状態を教えてくれる大切な「お便り」です。毎日チェックする習慣をつけることで、病気の早期発見につながることもあります。
今回は、便の色や形状からわかる健康状態と、それぞれのサインが示す病気の可能性について、お伝えします。
便の状態からわかる健康のサイン
まず、あなたの便がどのタイプに当てはまるか、以下の表で確認してみましょう。
主な原因・考えられること | 疑うべき主な疾患 | |
黄土色〜茶褐色
(バナナ状、半練り状) |
健康的な状態。
水分・食物繊維をバランスよく摂取している。 |
特になし |
緑色の便 | ・緑黄色野菜や青汁の過剰摂取
・下痢などによる腸の通過時間の短縮 ・胃腸の不調 |
・急性腸炎
・胆汁の排泄異常 |
黒色の便
(タール状で粘り気がある) |
・胃、十二指腸など上部消化管からの出血
・イカ墨など色の濃い食べ物や鉄剤の服用 |
【要注意】
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍 ・胃がん、食道がん ・食道静脈瘤 |
赤色の便
(鮮血が混じる) |
・肛門や直腸など下部消化管からの出血
・痔からの出血 |
【要注意】
・痔(切れ痔、いぼ痔) ・大腸がん ・潰瘍性大腸炎 ・大腸ポリープ ・感染性腸炎 |
白色の便
(白〜クリーム色、レモン色) |
・胆汁の分泌不足または胆管の閉塞
・バリウム検査の後 ・脂肪の消化不良 |
【要注意】
・胆石症 ・胆道がん、膵臓がん ・肝炎 ・ロタウイルス感染症 |
コロコロ便
(ウサギのフンのよう) |
・水分不足、食物繊維不足
・ストレスや生活リズムの乱れ ・便意の我慢 |
・痙攣性便秘
・過敏性腸症候群(便秘型) |
しゃばしゃばうんち
(水下痢、泥状) |
・ウイルス・細菌感染
・ストレスや暴飲暴食 ・薬の副作用 |
・感染性胃腸炎
・過敏性腸症候群(下痢型) ・潰瘍性大腸炎 ・大腸がん |
細い便 | ・大腸の通過障害
・食物繊維不足 |
・大腸がん
・過敏性腸症候群 ・腸の炎症 |
それぞれの状態を簡単に解説します。
健康な便(黄土色〜茶褐色)
水分と栄養バランスがとれた理想的な状態です。いきまずにスルリと出ることが多く、この状態をキープできるよう心がけましょう。
緑色の便
多くの場合は、ほうれん草や青汁など、緑色の色素を多く含む食品が原因です。また、下痢などで便の通過時間が速い場合も、色が緑のまま排出されることがあります。
黒色の便(タール便)
最も注意が必要なサインの一つです。胃や十二指腸からの出血が原因である可能性が高く、胃潰瘍や胃がんなどが疑われます。鉄剤の服用やイカ墨料理でも黒くなることがありますが、自己判断はせず、速やかに消化器内科を受診してください。
赤色の便(鮮血便)
肛門に近い場所からの出血が考えられます。痔や切れ痔が原因のことが多いですが、大腸がんや大腸ポリープなど、より深刻な病気が隠れていることもあります。「痔だろう」と自己判断せずに、一度専門医に相談しましょう。
白色の便
便の色を作る「胆汁」が腸に届いていない可能性が高く、胆石やがんなどで胆管が詰まっているサインかもしれません。目の白目が黄色くなる黄疸を伴う場合は、緊急性が高いためすぐに受診してください。バリウム検査の後は、一時的に便が白くなります。
コロコロ便
水分不足や食物繊維不足が主な原因です。便秘の典型的な症状で、ストレスや生活習慣の乱れが関係していることも多くあります。
しゃばしゃばうんち
ウイルスや細菌による感染症、過度なストレス、暴飲暴食などが原因です。下痢が1週間以上続く場合や、腹痛、発熱を伴う場合は、感染性腸炎や炎症性腸疾患の可能性も考えられます。
細い便
便の量が少ないことや、大腸が狭くなっている可能性があります。大腸がんなど、腸の通過を妨げる病気が疑われることがあるため、注意が必要です。
最後に
便は、ご自身の健康状態を知る上で非常に重要な「お便り」です。便の色や形、状態に少しでも異変を感じたら、お一人で悩まず、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
特に、黒色の便(タール便)や赤色の便(鮮血便)が出た場合は、胃や十二指腸、大腸など消化器系からの出血の可能性が考えられます。このような症状や、白色の便、細い便など、気になる症状が長く続く場合は、早めの専門医による検査が安心につながります。
きなが内科・内視鏡クリニックでは、食道・胃・十二指腸を調べる胃カメラ(上部内視鏡検査) や、大腸全体を調べる大腸カメラ(下部内視鏡検査) を実施しています。当院の内視鏡検査は、患者様の負担を軽減できるよう、苦痛の少ない検査を重視しており、鼻から挿入する経鼻内視鏡や、ご希望に応じた鎮静剤の使用が可能です。
また、FUJIFILM社製の「CAD EYE」を搭載したAIによる内視鏡画像診断支援システムを導入しており、肉眼では見つけにくい粘膜の病変も識別し、胃がんや食道がん、大腸ポリープなどの早期発見に努めています。検査中に大腸ポリープが見つかった場合は、その場で日帰り切除も可能ですので、再度の検査の負担を減らすことができます。
「ただの風邪」や「痔だろう」と自己判断せず、ご自身の体のSOSを見逃さないことが大切です。早期発見・早期治療のためにも、気になる症状がある方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
きなが内科・内視鏡クリニックは、阪急神戸線王子公園駅東口から徒歩3分の場所にございます。